『永遠平和のために』(カント・著 1985年岩波文庫改版)

こんにちは、コトリの管理人です。このブログではの私の趣味である「読書」を通じて感じたことや、思ったこと、おすすめの本について発信していく予定です。
今回取り扱う本は、題名にあるように、『永遠平和のために』(カント著、宇都宮芳明訳)です。

まずここで、著者であるイマヌエル・カントについて少し述べます。

イマヌエル・カント - Wikipedia

カントはプロイセン王国で活躍した18c~19cの哲学者で、著作に三批判書と呼ばれる「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」を持っています。ドイツ古典哲学の祖と呼ばれ、後世では日本の西田幾多郎という哲学者をはじめとして、多くの人物に影響を与えました。

そんな彼の著作の中で異色のものになる「永遠平和のために」。これのどこが異色かといいますと、この本、哲学書というよりは政治についての考察本なんです。現代にある国際連合の理想形についての考察が18cの時代を生きた人物によって書かれたということは驚くべきことではないでしょうか。

第一章

第一章のエッセンスは6つです
  • 完全な平和条約の締結
  • 国家の売買の禁止
  • 常備軍の完全な撤廃
  • 国家の対外紛争への国債発行の禁止
  • 他国の内政への暴力関与の禁止
  • 戦争時、将来への遺恨を残す行為の禁止
さてここではひとまず「完全な平和条約」、「常備軍の完全な撤廃」について考察していきたいなと思います。

完全な平和条約とは何か、カントは「平和とは一切の敵意が終わることで、永遠のという形容詞を平和につけるのは、かえって疑念を起こさせる語の重複であるとも言える」と述べています。

この条項の定義では、再戦の危険を孕む平和条約はとどのつまり、休戦条約でしかないのです。カントの時代の平和条約は互いに戦争を続ける能力が残っていないために結ばれたものであったのであって、そこには国力が回復した際の再戦の余地は充分に残されていたようです。

さて、現代ではどうでしょうか。現代の平和条約は原爆の恐怖のもと結ばれていると考えられるのではないでしょうか。互いに戦争をすれば致命傷は避けられない。故に平和条約によって消極的な平和を作る。というのが現代であり、私の考察に基づけば、いまだにカントがおよそ二百年以上前に理想とした「完全な平和条約」は達成されていません。

常備軍の完全な撤廃についてカントは明記しています(「時とともに」という形容詞付きですが)。

軍というものは存在するだけで国と国にとって刺激になり、軍事費による競争、最悪の場合、短期的な戦争を行うほうが平和よりも重荷が少なくなるということがあるためです。世界史的に見て、カントの死後にこのような状態を世界は経験しています。いわゆる「冷戦」です。冷戦下においてアメリカとソ連による核兵器開発競争は熾烈を極め、最後はキューバ危機によって間一髪となりました。この一連の世界史の流れはカントの説の正しさの証明になっているのではないでしょうか?

また、国民による自発的な自衛については肯定しているため、侵略戦争の停止を求めた墨子と偶然にも似た主張が行われているのはとても興味深いことです。


ここまでのご愛読ありがとうございます
次回は第二章について扱っていきたいと考えていますので、ぜひよろしくお願いします。


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